2024年10月20日(日)、秋晴れの下「しだみ古墳群ツアー」を開催しました。しだみ古墳群は名古屋市守山区上志段味(かみしだみ)にあり、確認されているだけで66基の古墳があります。ここでは、「しだみ古墳群ミュージアム」を中心に11基の古墳を見学することができます。
参加者は視覚障がい者8名を含む21名。視覚障がい者2名と晴眼者3〜4名で4グループに分かれ、それぞれに、古墳のガイド活動などを行うボランティア団体である「歴史の里マイスターの会」の方が2名ずつ加わってくださり一緒に歩きました。
「しだみ古墳群ミュージアム」ではまず古墳群の成り立ちなどを説明したアニメ映画を見聞きし、その後4つのグループに分かれてツアーが始まりました。
ミュージアムでは古墳の外形がわかる模型を触り、全体の形を把握したり埴輪のレプリカや出土した本物の埴輪のかけらに触ったりして、これから歩く古墳のイメージを膨らませることができました。学芸員さんの専門的ながらもわかりやすい説明で、みなさんもいろいろな質問をしては答えていただき楽しんでいました。
写真@ 前方後円墳の模型を触る手を導きながら説明される服部学芸員さん
写真A 実物大の埴輪レプリカを触る
ミュージアムを出て整備された公園のような場所に点在する古墳を歩いて周りました。
「志段味大塚古墳」は、復元された帆立貝式古墳で、頂上まで階段があり、登ってそこに並べてある埴輪に触ることもできました。鶏や朝顔などの形の埴輪に触って、マイスターの方たちの、詳しい話を聞き、楽しみながら古代に思いを寄せました。
写真B復元古墳上に設置されている鶏形の埴輪を触る様子。青いベスト着用はマイスターの会の方
写真C大塚古墳の頂上にいるグループを下から写す
写真D大塚古墳の頂上の棺の前でマイスター(青いベストの人)の話を聞く
次に、ここから5分ほど離れた場所まで歩き、しだみ古墳群の中で最も大きい「白鳥塚古墳」へ向かいました。ここは4世紀前半に作られた前方後円墳です。手すりのない山道を登り、森のような墳丘を登った上には白く光る石英が丸く敷き詰められていました。
写真E白鳥塚古墳へ登る
写真F白鳥塚古墳から降りてくる
この古墳は大和朝廷との関わりがあることから、前方後円墳の形の、このような大きい古墳が造ることが許されたそうです。また、ヤマトタケルの白鳥(はくちょう)伝説もあり、歴史とロマンがあふれる場所でした。
今回は、「歴史の里マイスターの会」が、グループごとに行程を変えてコースを組んでくださったおかげで、ゆったりと回ることができました。また、各グループを案内してくださったマイスターの方たちが、古墳の詳しい知識はもとより、古代からの伝説や神話など多岐にわたる説明をしてくださり、本当に飽きることのない楽しいツアーでした。
歴史の里マイスターの会のブログにも10月20日の様子が掲載されています。
歴史の里マイスターのブログ
最後はミュージアム内のカフェでランチを取り、参加者同士の懇親を深めた後解散しました。
以下に、参加した方の感想の抜粋を載せます。
Nさん:
支配者の権力を感じ、そのロマンを少し味わったような感じをもちました。 久しぶりの友達に会えた喜びもありました。埋葬された副葬品に触れて、当時の主従関係の強さを感じました。スタッフの皆さんの懇切丁寧な説明に良く理解もできたし、次々に興味も持てました。質問に快くお答えいただき、興味が益々深まるように感じました。
お墓の方向が高倉山に向けられていたこと、死者の埋葬方向が北に向いて葬られ、 お墓の方向と死者の方向のずれに、本当に興味がわきました。 副葬品の埴輪、きぬがさ、鶏の埴輪など、あるいは墓の周りに堀を築くなど、皆さんの当時にたいするロマンを感じ、そのころから脈々と続くDNAの不思議さも感じました。歴史とは長い長い線路のようなもので、過去の生を受けたものがDNAを伝えながら進歩を重ね進んで行き、これからもそれを受け継いで進んで行く。 いくら事情があろうともお墓をなくしていけば過去の死者の感謝も尊敬も失い、心の荒廃をもたらすような危惧を持ちます。
Hさん:
いろいろなものに触れることが出来てとても楽しかったです。また、自分が以前住んでいた、熱田区の結びつきがあって、とてもおもしろい話が聞けました。マイスターさんの話が、わかりやすかったです。いろいろな伝説の話が聞けてよかったです。こんなにたくさんのものに触ることがあまりなかったので、新鮮でした。またこのような機会があったら参加したいと思いました。視覚障がいの方がもう少し多く参加してもいいなと思いました。
Oさん:
古墳群ツアーを企画してくださりありがとうございました。名古屋に古墳がたくさんあることや、古墳が偉い人のお墓だということを初めて知りました。埴輪の形や大きさの違いを、レプリカや模型で知ることができてよかったです。マイスターさんの説明もとてもわかりやすかったです。
Tさん:
今回、視覚的に情報を得ることが難しい方々と、点訳を通じて情報を届ける私たちが一緒に過ごすことで、普段は気づきにくい点について深く考えさせられました。古墳では、参加者同士で触覚を使った「体験」を中心に共有する場を設けていただき、土器の質感や古墳の形状を手で確かめたり、歴史的な背景について聞いたりすることで、視覚に頼らない新たな楽しみ方が見えてきました。普段は見過ごしていた音や感覚に敏感になり、「見る」以外の方法で文化を楽しむ姿勢が広がりました。 何よりも素晴らしかったのは、皆が互いを思いやり、学び合う雰囲気です。点訳を通じたボランティア活動を続ける中で、言葉の力や伝える責任を再確認し、今後も活動を続ける意欲が高まりました。この交流会に参加して、本当に良かったと心から感じています。 歴史の里マイスターの皆さまには、視覚障がいの方々へのきめ細やかな案内と豊富な知識でサポートいただき、心より感謝申し上げます。
Eさん:
視覚障害の方のガイドヘルプをするのがはじめてだったので、とても勉強になりました。 はじめての人間にガイドヘルプをされるのはとても不安だったと思います。ガイドヘルプを任せて下さったTさんにとても感謝しています。 触地図作成の活動をしようとしているので、その資料のために、視覚障害の方にのみ配布されていた点字のパンフレットをいただけたら嬉しかったです。 (NBNから後日お送りしました)
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