2024年6月30日(日)名古屋市総合社会福祉会館多目的活動室において、NBN総会が行われました。参加者は社会福祉協議会職員2名も含め、29名でした(うちzoom参加は2名)。
まず、1998年にNBNの活動が始まった経緯や目的を代表の中西さんが説明しました。NBNの活動は各点訳グループの点訳目録を作り、希望者にデータをメールで送ることから始まりました。
NBN役員の中島さんが時間をかけて無償でホームページやデータベースを作成し、今では名古屋市社協の助成金で、点訳者も点字利用者も共に無償で利用できます。
続いて名古屋市社協ボランティアセンターの野川様と内藤様があいさつされました。名古屋市には5つのボランティアのネットワークがあるそうで、視覚障がい者関係では、「名古屋点訳ネットワーク」のほかに「ガイドネットワーク名古屋」があるということです。
その後参加者の自己紹介があり、議題へと進みました。
2023年度活動報告は以下の通りです。
@ 6月11日(日)総会/ 石川亜紗美さん講演会
A 3月23日(土)「エーデルの最近の発展について」 藤野先生講演会
B NBN点訳データベース(更新中)
点訳登録のタイトル数は2024年6月現在で、書籍2052、記事3625、歌詞3655となっています。
昨年に比べ、登録数が若干減少しています。
歌詞などは何年もたってからダウンロードされることもあります。
2023年度会計報告も承認されました。エーデルについて講演をしてくださった藤野先生からは講師料をそのまま寄付していただきました。
役員は2年任期ですが、引き続き延長することとなりました。
代表 | 中西和子(大樹会) |
副代表 | 細川陽一(名古屋盲学校) |
花井敦子(はづき会) | |
会計 | 大倉裕子(みなづき会) |
会計監査 | 中井慶子(点訳サークルてんてん) |
広報 | 浅田浩子(点訳サークルてんてん) |
中井慶子(点訳サークルてんてん) | |
竹本邦江(はづき会) | |
サポーター | 牧原英治(半田市) |
石川亜紗美(半田市) | |
HP管理 | 中島正二(瀬戸市) |
平瀬徹(大樹会) |
渡辺先生の専門は福祉工学分野です。視覚障がい者の使用するデバイスについての専門家で、現在は
3Dプリンターや、カプセルペーパー発泡機を使い、視覚障がい者用の触地図の開発・作成に尽力していらっしゃいます。
先生が触地図作成サービスを始めるきっかけは、2004年にアメリカの学会でTMAP(住所を入力すると点字プリンターで地図が出る)を見て感動したことだそうです。
その後、2008年「触地図自動作成システムtmacs」を開発し、2年後には「tmacs」を使った触地図作成サービスを開始されました。作成には時間も手間もスキルも必要ですが、先生が開発されたWebアプリ「tmacs」を使うと、どの場所の地図でもすぐに作れるとのことで、実際に作成する様子を見せていただきました。
その後も「tmacs」は改良が続き、2020年に立体コピー触地図作成支援アプリもでき、先生は2022年に障がい者の生涯学習支援活動で文部科学大臣賞を受賞されています。
触地図作成サービスは、視覚障がい者本人または支援者から直接メールで受け付けています。必要な情報は、場所・範囲・興味ある場所(poi)・利用目的・送付住所です。
サービスは無料で、その理由は視覚障がい者のニーズを知るためということでした。
先生がこれまでに作って配布した地図は283枚。さらに「サイトワールド」では毎年200〜300枚を配布してくださっています。
どの地図も先生は独自に工夫されていて、地域地図では道の高低もわかるように作ってあり「自分の街を詳細に知ることで世界が広がった」と喜ばれています。また視覚障がい者の自立移動のために道路地図を作製した時は、その地図により「何回か練習した後、一人で駅まで行けるようになった」との声もありました。そのほか、交差点模型(新潟駅・豊田市)では、地図を建物・歩道を厚紙で高くするなど、使う方がどうしたらわかるかを、いろいろなアイディアを駆使して作成していらっしゃいます。
今回は会場でも、名古屋市営地下鉄路線図を配布し、みんなで触ってみました。
最近のトレンドは、ニュースの中の地図(ウクライナ・トルコ・シリア)だそうです。ニュースでよく聞く地域ですが、触地図により、都市や周辺国などが理解できたとのことです。
先生の作成された地形模型は、盲学校の校外学習先である、福島県・信夫山と東京都・高尾山の場合は、紙を貼って説明者にもわかりやすくしてありますし、三陸地方や志摩のリアス海岸の海岸線には1ミリの段差をつけ指でたどりやすいようにしてあったり、色付けしてロービジョンの方もわかるようにしてあるなど工夫が満載です。
街のジオラマ(大阪肥後橋、東京大崎)を作成した時は利用者から「感動した。触っていて楽しい」との感想があったそうです。
そのほか、ハザードマップや、電車・バスの路線図、交差点の模型なども作られて、地域にも貢献していらっしゃいます。
地形図を説明する例として、先生が作られた関ケ原古戦場の模型を触りながら話していただきました。これは20p×11cmの大きさで地形が表されており、古戦場・陣に詳しい方がこれを使って説明すれば、より楽しく、わかりやすく地理と歴史が学べることになります。
また、視覚障がい者の方たちには、立体日本地図などのプレゼントがあり喜ばれました。
実際に、「tmacs」でカプセルペーパー発泡機を使って触地図の作成を見せていただきました。1分以内にできあがり、しかも大量の印刷も可能です。ただ、カプセルペーパー発泡機は20〜22万円、カプセルペーパー(立体コピー用紙)は200枚 16,800円と少し高価なので、盲学校や点字図書館など、発泡機を保有している施設で使わせていただければ、作成できる箇所が増えるかもしれません。
また国土地理院の地図から3Dダウンロードビルダーというソフトで開くと3Dプリンターでも作成できます。さらに「立体コピー触地図作成支援Webアプリ」には、点字も墨字も入れることができます。それぞれ利用者の希望に合わせて作成しますが、大変なのはデータ作りです。たとえば、建築物を届けるとき、有名なものは比較的作りやすいのですが、そうでないものは勉強も必要です。また、利用者がよりわかりやすくなるように、できたものに点字シールやフリーテープなどを貼って、凹凸をつくるなどの工夫も必要です。
先生が立体コピーを作ることを考えたのは、知り合いの視覚障がい者に頼まれたのがきっかけだったそうです。線図や点図ではわからなくても、立体コピーや触地図でわかることがあります。
しかし、「この模型がメインなのではなく、説明する人の熱意が一番だ」とおっしゃる先生のことばに、単なる触地図の開発だけではない、開発者としての誠意を感じました。
先生の希望は、将来自分以外の人が作れるように養成したいこと、数か所に作れる場所ができることだそうです。
長年、先生が取り組んでこられた触地図や立体コピーの作成ができるボランティアや法人ができ、この活動が広まっていくことを切に願います。
以下は参加した方の感想の一部です。
・個人的なことだが、生まれつきの強度弱視で一般校へ。知りたくても知れなかったことを知れて感動した。立体コピーの奥の深い世界に触れて、たくさんの人に感動を知ってほしい。
・自分が知らない知識がたくさんあって、知ろうとしなかったんだろうなと思う。
・これまで想像力と視覚以外の情報で世界を理解しようとしていたが、実際に日本列島の地形図や名古屋市の触地図を触り、想像との違いを知り、わくわくがとまらなかった。生きることの楽しさ、知ることの奥深さを周囲の方と分かち合うことができる人でありたいと思う。
・立体コピー機がなくても身近な文房具で触地図を作製できることがわかった。
・個人の熱意と努力が大きいと感じた。視覚障がい者が実際に立体コピーを持って、みんなに説明している姿を見て、すごくわかりやすいことがわかった。
・誰かが受け継がないと先生の開発したものが消えていく。それは寂しいかぎり。
・各地町にも普及していくとおもしろい。
2024年度交流行事として、「志段味(しだみ)古墳群ツアー」を企画しました。
ガイドによる説明付きで、点訳者・視覚障がい者どちらもお楽しみいただけると思います。
ふるってご参加いただき、NBNに関わる方たちとの交流を楽しみましょう。
◇志段味古墳群とは
名古屋市守山区志段味エリアには古墳時代を通して古墳がつくられ続け、名古屋市全体の3分の1にあたる66基が確認されています。
東西約1.7km、南北約1kmの範囲に古墳がたくさん分布しています。
◇歴史の里マイスターの会のガイドがあります
「歴史の里マイスターの会」の方々が、一緒に古墳巡りをし、歴史や古墳についてお話ししてくれるので歴史に詳しい方も詳しくない方も、楽しむことができます。
しだみ古墳群ミュージアム(シダミュー)では、学芸員の方が概要説明をしてくださいます。
◇みどころ
(1) シダミュー内で学芸員さんから直々に概要説明を聞けます。
(2) シダミュー内で前方後円墳の模型や、埴輪の実物大レプリカに触りながら説明を聞けます。
(3) シダミューのすぐ裏側にある大塚・大久手古墳群を歩きながらガイドさんの説明を聞けます。
(4) 当時の姿を完全に復元した大塚古墳に触ったり、階段で登ったりできる。約500本の埴輪レプリカがあり、段丘上には木棺も復元されています。
(5) 大塚古墳から徒歩約10分のところにある白鳥塚古墳の現存部分を歩けます。志段味古墳群の中で一番大きく石英が大量に出土しています。今では木が生えて森のようになっていますが、古墳の頂では石英を敷いた様子の再現にも触れます。
※(5)は手摺の無い階段を69段登ります。
歩くのが大変な方には(1)〜(4)だけのゆっくりコースをご用意しました。
◇スケジュール
9時25分 JR高蔵寺駅改札集合(ホーム集合をご希望の方はお知らせください)
*JR金山駅 改札前に8時20分集合をご希望の方はお知らせください
*車で行かれるなど9時45分シダミュー集合をご希望の方はお知らせください
9時36分 志段味巡回バスに乗車
9時43分 勝手塚バス停着 ⇒ 数人ずつの班に分かれてツアー開始
12時30分 ツアー終了、カフェ「MORI no UTA」で、ランチ
14時00分 バス停へ向かう
14時09分 勝手塚発バスに乗車
14時20分 高蔵寺駅着・解散(金山駅集合の方は金山駅で解散)
◇参加費
高蔵寺駅までの交通費は各自負担です。
(金山駅集合の方も高蔵寺駅までは各自負担です)
高蔵寺駅からのバス代とミュージアムの入館料は、NBNから支出します。
※割引パス等をお持ちの方は、ご利用ご協力お願いいたします。
ランチ(1045円または990円)やドリンク(440円〜)は、各自の分を集金します。
◇お申し込み(締め切り:9月20日)
申込先:daihyo●n-braille.net (●を@に置き換えて 送信してください)
【お名前】
【連絡先】 携帯電話 および E-メール
【割引関係情報】身障者手帳・名古屋市敬老パス・名古屋市福祉特別乗車券などの有無。
※ 身障者手帳等をお持ちの方はご持参ください。
【集合場所】 @ABからお選びください
@ JR高蔵寺駅改札 9:25 (9:36発のバスに乗ります)
A JR金山駅改札 8:20 (8:41発のJR中央線に乗ります)
B しだみ古墳群ミュージアム入口 9:45
【コース】 以下からお選びください
(天候によっては内容を変更する場合があります)
スタンダードコース:ミュージアム→復元古墳→現存古墳→ミュージアム横のカフェ
ゆっくりコース :ミュージアム→復元古墳→ミュージアム横のカフェ
【ランチメニュー】 以下からお選びください。
A:唐揚げコロコロ丼(大きな唐揚げをごろっとのせてボリューム満点!)
1,045円
B:オムライス(愛知県小原地区で産まれた新鮮な卵をたっぷり使用)
990円
※キャンセルができませんので、万一欠席の場合もランチ代をお支払いください。
イベント申し込みページからも 申し込みができます。項目の選択が楽になります。
詳細も書かれています。
こちら からです
名古屋点訳ネットワーク事務局
(名古屋市社会福祉協議会 ボランティアセンター内)
〒462-8558 名古屋市北区清水4−17−1
Tel 052−911−3180
Fax 052−917−0702
ホームページ https://www.n-braille.net/
メールアドレス daihyo●n-braille.net (●印を@に替えてお送りください)