N B N 通 信 19 号
名古屋点訳ネットワーク
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2009年8月発行
―― 目 次 ――
ご挨拶 〜ルイ・ブライユ生誕200年を迎えて〜 副代表 白柳 貴子
グループ交流会
報 告
点訳グループ交流会を終えて 副代表 細川 陽一
グループ交流会に参加して 箕田 和江
パン作り交流会と第12回総会
第12回名古屋点訳ネットワーク(NBN)総会
交流会と総会に参加して みなづき会 加納 雅子
「安城産業文化公園 デンパーク」にて 星野 妃栄
点訳室で はづき会 木全 三保子
編集後記 広報
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ご挨拶 〜ルイ・ブライユ生誕200年を迎えて〜
副代表 白柳 貴子
このたび、2008年7月発行以来、1年ぶりのNBN通信を皆様にお届けすることができ、とても嬉しく思っています。
この1年の間には、NBNホームページの管理のほかに、2008年10月にボラみ展(愛知淑徳大学にて点字体験ブースを出展)、2009年3月に点訳グループ交流会、2009年6月に安城産業文化公園デンパークにてパン作り体験を行ってきました。慌ただしくも充実した活動の中で、点訳ボランティアや視覚障碍者の皆様には、毎回、温かいお言葉をかけていただき感謝の気持ちでいっぱいです。これからもNBNをより多くの方々に知っていただき、効果的に活用いただくためにホームページの改善に取り組むなど、NBNの発展に努めたいと、役員一同、気持ちを新たにしているところです。
また、今年はルイ・ブライユ生誕200年の年でもあります。私たちは点字の発明という彼の偉大な功績に深く感謝するとともに、点字の良さを再確認し、後世に伝えていくことにも努力をしていきたいものです。点訳ボランティアの皆様は、日頃から丁寧な点訳活動を心掛け、触読しやすい点字を視覚障碍者の皆様に届けておられることでしょう。NBNでは、本来の目的である点訳ボランティアと視覚障碍者の掲示板として、点訳データの流通がより活発に行われるためのお手伝いができたら幸いです。また、NBNをご利用の皆様の交流の場や点訳活動に関する啓発の機会も順次、企画していきたいと考えていますので、その節には、皆様こぞってご参加ください。
では、近々に皆様にお会いできることを楽しみにして、ご挨拶とさせていただきます。
グループ交流会
3月15日 39名の参加者のもと、グループ交流会が開催されました。
NBNではこれまでに高浜市での瓦美術館等の見学会におけるグループ交流会はありましたが
単独での「グループ交流会」は希望は多々あったのですが 実現には至っておらず初めての企画でした。
NBN代表挨拶、市社協からのご挨拶をいただいた後
参加者はペアになった相手を紹介するゲームで始まりました。
また、会場には数グループの点字冊子の展示もしていただきました。
お昼の休憩時には、小まわり点字/点図プリンター「アーチBPーS」 http://www.2949n.com/prod/06.html の実演紹介もしていただき、プリンターの打ち出す様子も見ることができました。
今回の交流会は「はづき会」「名古屋盲学校図書室関係」「点訳ポチの会」「あかね会」「桑名点訳友の会」「点晴会」「大樹会」の方に会の紹介等を発表して頂くことで実現することができました。
忙しい中、ご無理をきいていただき
準備して臨んでいただいた7団体のグループの発表から始まりました。
〈グループの発表要旨〉
「はづき会」・・・市社協で活動
全国に読者会員が45人いて会費もいただいている。
かな点字はもちろん、漢点字(8点)もしている。
SPコードの作成。大活字にも対応させる。
点訳は依頼されたものとボランティアが点訳したいものをする。
世界地図・日本地図の点図にも挑戦。
小学生が大きくなって読むのが早くなり追いつかなくなったが、メールができるようになったのでテキストで読んでもらっている。
一般図書と違い点字図書は作られる本の数が少ないので、格差克服の為、パソコンを最大限活用してスピーディーな点訳を心がけている。
スキャナで読み取り、自動点訳ソフト「お点ちゃん」をフル活用している(かな点訳はほとんどこの方法)。
問題点
パソコン、プリンターのメンテナンス費用。寄付・助成金でなんとかしている。
ボランティアの高齢化。
「お点ちゃん」の辞書機能の有効利用の提案をいただきました。
「名古屋盲学校図書室関係」
図書係りの方からお話をいただきました。
図書館の概要
墨字約12000冊 点字約8000冊 計約2万冊。
80%が点訳ボランティアさんによって点訳されている。
年間 墨字約800冊 点字約500冊が貸し出しされる。
墨字の本に対して点字・音訳と3通りが同じように揃えられるように心がけている。
点訳ボランティアさんとのかかわり
月に一度 点字使用の職員も同席して勉強会をしている、1時間程度で、3グループ、5〜15名。点訳の打ち合わせ・てびきの読み合わせ等。点訳レベルはいろいろ。
点訳グループ紹介
@愛光会 : 教養書53タイトル・90冊(この1年)。
全員パソコン。図・表もできる。
困っていること : 諸費用の捻出(墨字印刷用インク・用紙。個人で負担している)
会員不足、実質会員7名、平均50歳
Aめだかのあつまり : 児童書・一般書・教養書 38タイトル・104冊(この1年)
実質会員8名
Bたんぽぽ : 児童書・一般書・教養書 1タイトル・2冊(この1年)
実質会員1名
困っていること : 会員不足(点訳ボランティアの育成をしている)
その他のボランティアについて
製本ボランティア(2グループ、プリンターで打ち出したものも製本。紐で綴じるのではなくて市販の本のように製本用糊を使用。耐久面で優れている)
朗読ボランティア
不足している需要のある点訳本
@動物・植物図鑑
A「調べ学習」に使えそうな参考資料(図・表を多用している)
B学習参考書(理数系は特殊記号が多用されるので敷居が高い)
C児童書「かいけつゾロリ」シリーズがほとんど不思議なことにない(需要はかなりある。利用者のニーズが伝わっていないから。発信できる基盤があれば解決するだろうと思う)
需要はあるが充足している点訳本
ベストセラーシリーズの本 例 :「ハリー・ポッター」
(墨字は予算上揃えるのが難しいが点字は1ヶ月ほどで手にはいるのでありがたい)
名古屋盲学校図書室としての、点訳の方々への思いと今後に望むこと等
@幅広い分野を点訳したいと思ってくれるのがうれしい
Aアンテナをたくさん張って多岐にわたって頼りがいがある
B特化した参考書・複雑なものなど専門的に扱ってくださるのも心強い
C点訳グループがどこかの図書館・図書室に所属しているのであったら利用者側との交流を通じて意見交換・情報収集をしてほしいと思う
「ポチの会」 ・・・緑区を中心に活動
男性が多いのが特徴。
マンツーマンで点訳指導をするので初心者でも参加できる。
数字が読めるようになったら点字の印刷したものをページを見ながらまとめる係等 全員がやりがいを持ってやっている。
学校の福祉体験で45分しかもらえない時には打つ体験よりも身近なものを読むことに重点をおいている。
決まった点訳室がないので部屋の確保の届けを出さないといけないし、機材を接続したりという作業がいるので点訳室があったらいいと思う。
機材の整備に大きなお金がいるので困っている。
「あかね会」・・・ 尾張旭市で活動
名鉄4駅の時刻表を点訳。
手打ちが中心。パソコンも勉強している。
ハリー・ポッターを1巻から7巻上まで手打ちで点訳。
現在65冊、7巻下までが完成すると95冊になる。図書館に寄贈中。
名刺に点字をつける普及をしている。
「桑名点訳友の会」・・・桑名を拠点に全国の依頼を受けている
30年近く前に発足。日本赤十字社三重県支部点訳奉仕団所属。
64名の会員。
教科書等は小学校から大学院生まで。
楽譜・琴譜・漢点字、ほかいろいろ。
年間80タイトル、9万ページ。
毎年3ヶ月をかけて15名ほどの勉強会を開催、ほとんどが会員になる。
1冊の点訳を何十人かが担当しそれを少しずつ分冊して点訳。
大勢がいろいろな分野の点訳をするし
同時にいろいろな点訳に関われるように薄く広く」やっている。
英語点訳も挑戦したくなった人が
マニュアルで少しずつ勉強し、ベテランが声を掛けたりしていくうちに、全員ができるようになっていく。
楽譜等も勉強をしたい人が2〜3人に増えてくると勉強会を一定の期間やる。
困っていること
校正者によって マスあけの意見が違い、調整が大変。
質問から
Q:教科書の点訳にあたって学校との話し合いは?
A: 新学期ということもあって お聞きしても 注文はほとんどない。
途中経過をお聞きしてもほとんどない。
Q: 校正は画面校正でしょうか?工夫していることは?
A: 第1校正は本と照らし合わせながらパソコン音声で脱字・脱文がないか確認。
第2校正は画面を声を出して読みながら本と見比べる。
校正結果は校正者がデータの名前を変えてどんどん直していき、元データと新データでTエディタの「比較ファイル」を使って印刷をして渡している。(新データは渡さない)
最終校正は視覚障碍者の方が全部を見てくださる。
Q: 40人が集まっての活動はどんな感じでしょうか?
A: とてもにぎやか。各々が自発的に担当している各々の活動で集る。
みんながばらばらに 好きな時にやってきて
好きな時に帰っていく。
昼食も各自が好きな時間・場所で食べる。
「点晴会」 ・・・ 豊明市を中心に活動
大学生の授業・就職テキストの点訳。
普通校へ行っている中・高の英・数・社会の問題集の点訳。
中途失明者への点字触読勉強会。
鶴舞図書館の蔵書点訳。
問題点
点字読者が少ない(市内5名)。
大学生の点訳依頼は専門書なので
内容はほとんどわからないが転写点訳はできるのでやってはいるが グラフ・表をどうわかるように点訳したらいいのかで悩む。
会員が減少して通し読みができる人が少なくなったため、一人の仕事量が増えて負担が大きい。
依頼がたくさんあるので
手伝ってくれる方 大歓迎。
「大樹会」・・・ 市社協で活動
会員数40名。
ホームページを見たり、市社協からの紹介で入会することが多い。
日曜日の活動なので 仕事をしている人が多い。
一般情報月刊誌「ハロー」(仮名点字版と漢点字版)は読点を使わず、記号もなるべく減らしている。ハローの読者は今は20名ほど。
カラオケ歌詞集。
リクエスト歌詞点訳(会員制で一人年間50曲まで)
これらは有料としており、点字用紙代ほか所要経費の実費相当額を頂戴している。
〈グループでの問題点の話し合いから〉
@費用の捻出について
●プリンターもあるし恵まれていると思う。
点字プリンターが2台あり 今1台修理中。
福祉教室の謝礼を半分、会に寄付してメンテナンスに使っている。
助成金を申請することで、パソコンやスキャナを手に入れている。
●パソコン点訳は学習段階なので
パソコンは自分持ち、コピー用紙も自分持ち。
(手打ちの)点字用紙は社協が負担してくれる。
費用の捻出には外部の助成金を獲得するのが一番の策だと思う。
●インターネットからでも 助成金の申請について調べられる。
Aボランティア会員の減少・読者の減少について(ボランティアの募集、指導法など)
●増えて困っている。
現在39人+在宅で10人ぐらいで部屋がいっぱい。
社会福祉協議会の毎年10ヶ月の講座を受けてもらい
3分の2の出席で入会。
入会後中級講座をする、終了後
実践になる。
校正専門の例会の日もある。(第1・第2校正は郵送も多い。墨点字で送る)
読む点字教材を作って 読んでもらってから点字を書いてもらっている。
読むのも書くのも宿題。
●社会福祉協議会が毎年半年間の講座を開き
その後 入会。
入会後半年間 応用編を行う。
会員数45・6名で変化はあまりない。
●4日間の「点字に触れる講習会」を毎年開催。会員として1〜2名残る。
入会後1年ぐらい「点訳のてびき」に沿って勉強会をする。
全体は25人ぐらいで変化はあまりない。
●点字を知ってもらうための3日間の講習会を毎年実施。
●「点訳のてびき」と問題集でやっているが、読む事が大事なので子供の伝記:偕成社「ブライユ」を点字で用意して
読んでもらっている。
●初心者で入会も可能。
社協の4ヶ月講習会もやっている。講師は大勢で対応。
何回参加でも 入会OK。
テキストは「はじめての点訳」。
何年か前までは手打ちの本を1冊作成してから パソコンをやってもらっていたが、今はいきなり パソコン。手打ちの時には残る人が少なかったがパソコンになってから残る人が多くなった。
●講習会をしようにもボランティアが少なかったら講習会もできないと思うので、デリバリー講習会があったら良いのではないか。
B福祉実践教室の進め方、工夫している教材について
●視覚の人に講師として参加してもらうことで、
話が聞けたり、点字を読んでもらったりできることがいいと思う。
●社協からの依頼。
人数のやりくりで大変。
最初ボランティアだけで行っていたが点字を書くだけでいいのかという思いが募り視覚障碍者の人に講師として参加してもらっている。会のメンバーはお手伝いだけ。
●市役所から依頼。
点字のことだけに関わることはできない。
子供達が喜ぶのは 食事の話や、ガイド体験をしてもらう時。
視覚のお友達が来たら どんなことを手伝ってあげられるか、など考えてもらうようにしている。
●市役所からの依頼は視覚の人だけが行くパターンがある。
社協からの依頼は ボランティア3人体制で行く。
「あいうえお」から初めて名刺に名前を。
エーデルで数字を順に線をつないでいくとライオンになったりピカチューになったりする図を用意して最後または家で楽しめるようにしている。
●学校には先に視覚障碍者参加のガイド体験をしてもらうように要望。
その後 点字の教室はボランティアだけで参加している。
●愛知県の社協の冊子『思い出してごらん』に特殊音が載ってない等、気が付いたことは皆さんも声をあげてください。
C福祉実践教室で使用している点字一覧表資料は、「読む表」か「打つ表」か、「両方の表」か
・ 打つ表。数符だけの読む表を用意。
・ 読む事に重点をおいているので凸面の点字一覧(読む表)は必ず持って行く。
・ 打つ表(『思い出してごらん』)。
D点字を習いたい視覚障碍者への対応はどうしているか
・社会福祉協議会が指導者を招いて学習会をしている。
・教え方は点訳者の点字の学習方法とは違う。
・名古屋から遠いので、自分たちでテキストに沿って学習会をしている。
私たちもリハセンに勉強をしにいった。
E自動点訳ソフトの使い心地
イブキテン : 辞書類は「まだちょっと」と感じる。
お点ちゃん : 辞書が自分で入れることによって増えてくる。
テキスト文章を修正すると元のデータも修正してくれる。
印刷も便利な使い方ができる。
グループの辞書を作ることもできる。
F音声校正について
使わない理由 : 墨点字とかなで校正していて見落としがないから。
校正表を書かないといけないのが大変。
使う理由 : 誤字・脱字等を見つけやすい。
ビスタ機にしたら
Tエディタの音声が出なくなった人がいる。
環境設定の音声をマイクロソフトにすると出る人もいる。
プロトーカー・アクティブXを入れて音声を出せる。(必ず出るわけではないかもしれないが、NBN掲示板にURLをアップすることとした。)
有料のウインベスを使う。
点訳グループ交流会を終えて
NBN副代表 細川 陽一
NBNでは、点訳をはじめとする講習会や、レクリエーション的活動を多く実施してきたが今回のような点訳グループの活動報告&情報交換会は初めての企画である。計画当初は発表していただけるグループがあるのかどうかが心配だったが、当日は7グループの方々に発表していただき、多くの方々と意見交換をすることができた。
以下、各グループの発表内容と意見交換の内容を記載する。
(1) はづき会
自動点訳ソフト「おてんちゃん」を使用している。とくに辞書登録機能を活用して、点訳を能率的に行う技術の紹介が印象に残った。この機能により、人名、地名、難読熟語を間違うことなく点訳できるようになった。この辞書データは、取り出して別のパソコンでも使用できるため、データの共有化の提案がなされた。
また漢点字にも力を入れている。これもパソコンを活用して漢点字を検索できるデータを作成しており、点訳に役立てられている。
(2) ポチの会
メンバーの点訳技能士を中心に、疑問点の解消、勉強会の実施を行なっている。点訳は新聞記事やユーザーからリクエストされたものを中心としている。
また福祉実践教室の援助も行い、主に点字や触サインなどを触って読んでもらうことに主眼をおいて実践しているとのことだった。
(3) 名盲図書室
盲学校の蔵書点字本、所属点訳関連ボランティア(製本ボランティアを含む)の概要紹介。毎月図書室で、勉強会(「点訳の手引き」の読み合わせ)、情報交換の実施。
よく読まれている点字本は児童書や専門書(医療、鍼灸関係)であるが、しかし必ずしも充足はしておらず、更なる点訳の希望があることを紹介。
(4) あかね会
手打ちによる点訳本の作成に誇りを持たれている姿が印象的。福祉実践教室の援助や、講習会の実施。
(5) 桑名点訳友の会
会員数が多く、その中で小グループを構成してテーマを持ち、メンバー一人一人がやりがいを持って活動されている様子の紹介。新しいこと(漢点字、楽譜点訳など)を積極的に取り入れながら地道にできることを増やしている。また、初心者にはベテランがつきっきりになり、点訳レベルの向上に努めている。
「広く薄く」をモットーに、それを実現するために代表者は良き点訳者よりも良きマネージャーを心がけている。全体的に会の雰囲気の良さが伝わってくる発表であった。
(6) 点晴会
数学や英語などの専門書を点訳されている。その中で図表やグラフをどのように点訳すればよいかについて悩むこともあるとのこと。
会員が減少しており、一人の仕事量が増えてきて負担となってきていることが悩み。点訳ボランティアを育成する講習会を実践されている。ただ近年、メンバーの減少で講習会の講師を確保することが難しくなってきていることも指摘された。
(7) 大樹会
有料の発刊物(月刊誌「ハロー」)の点訳やリクエスト歌詞点訳など、他のグループでは行っていない点訳をされているが、近年読者の減少が悩みとのこと。
仕事をしながら点訳をやっている人が多いことも特徴だが、反面、作業日の集中や点訳量の偏りなどがおこってしまうことが問題。また校正者が少ないため、その人の負担が増えていることも悩みとして挙げられる。
発表されたグループの皆さんは、どのグループの方もやりがいを持ち楽しんで点訳をされているのだという印象を持った。また問題点についても話し合うことができた。問題点としては次のようなものがあった。
(1) 費用をどのように調達するか
点訳者の会費、社協からの助成金、福祉実践教室の謝金を活動の費用としているところがある。ただパソコンの更新など、まとまって費用が必要な場合はその確保に苦慮することが多い。会場からは助成金の申請をする方法の紹介があった。専門冊子や日本助成金財団web参照。
校正作業の際にプリントアウトする紙代の多くは個人の持ち出しであり、この費用も馬鹿にならないものである。
(2) メンバーの高齢化・減少化、それに伴う仕事量の増大
一部のグループを除いて、この問題が深刻でした。有効な方法としては、点訳ボランティアを育成する講習会を実施して、その卒業生にグループに加入してもらうというものであろう。上のグループに加え、ともしび、あけぼの会、みなづき会なども実施をしており、効果が出ているグループもあるとのことであったが、この方法も講師の確保が難しいという指摘もみられた。該当グループが講師を派遣して講習会を開くだけでなく、余力のあるグループに協力を求めて、デリバリー講習会を実施する方法もあるだろう。
仕事量の増大については、依頼のあった点訳を他のグループと連携したり、委託するなどの方法が考えられる。今後は、このマネージメント機能の充実に期待している。
(3) 校正者の確保の難しさ
どのグループも点訳技能を向上させて、校正者を育てるよう努力をおこなっていた。またグループ内の点字使用者が中心となっているケース、校正者だけの集まりを設定して技能を向上させている(金曜会)ケースなども報告された。
校正方法については、多くは墨点字の印刷やパソコン画面による校正であったが、パソコンで点訳文を音声発生させて校正する方法についても紹介があった。
NBNでは、これまで点訳をはじめとする講習会やレクリエーション的活動を多く実施してきた。今回のような点訳グループの活動報告&情報交換会は初めての企画であったが、参加者も多く、その後のアンケートでもいろいろな角度からの意見をいただき、おおむね好評であった。主催者側も情報交換会のニーズの高さを実感した。
各グループの状況や問題点について話し合うことにより、参加者がそれぞれの所属グループの活動について、今後の展望を持てるようになることを期待している。
グループ交流会に参加して
箕田 和江
NBN通信を送っていただくようになってからかなりの年数が立ちましたが、今回初めて交流会に出席させていただきました。
まず初めに、私たち視覚障害者のために点字をマスターしてくださって、それを用いて多種多様の点訳をしてくださっている皆様に心からのお礼を申し上げたいです。
視覚障害者の代表と言うようなものではなく、ただ一人の視覚障害者として、この点訳作業がどれほど根気と忍耐を要するものであるかを熟知しているものとして、皆様の御努力に感謝します。
交流会会場には、始まる前から和やかさとパワーに溢れた雰囲気が満ちていました。
各グループの点字への取り組みを聞きながら、手書きのグループ、パソコンソフトを駆使して最大限の効率を考えて点訳しておられる方々のそれぞれの方法に興味を覚えました。
特に、名古屋盲学校の図書室の係りの先生のお話から、需要と供給のバランスについて考える所がありました。
それぞれのグループで、利用者との交流会を実施して、その中から点訳して欲しいものを点訳されておられるようでしたが、市の役所や社会福祉協議会からの点訳依頼も多いようでした。
それに加えて、学生へのプライベートな点訳にも取り組んでおられるグループもあって、点訳ニーズの専門性や広がりも感じました。
触図について、エーデルソフトの普及で、以前に比べると作製が少しは楽になったとはいえ
理解の難しさを感じました。
私自身、触図が苦手なせいもあって、努力された皆様の期待に応えられなくて申し訳なかったと思いました。
発表の中からいくつかの共通の問題点について話し合われました。
個々の問題が解決されたと言うわけではありませんでしたが、他グループのことを知ることによって
皆で問題を考えていく、そんなあり方が建設的に思われました。
点訳校正の方法について、また
ボランティア養成のための講習会のこと、福祉実践教室の取り組みなど熱心に話し合われました。
共通のこれらの話題は、会の終わりを知らないかのようで、閉会の後も和気藹藹の雰囲気は続いていました。
会の流れをざっと振り返って見て、私自身は多くのものを得ましたが、これらの点訳物を読ませていただいている者の声を聞けなかったのは残念でした。
点字板、タイプライターしかないころから校正の一部を手伝わせてもらっている私の感想は、視覚障害者は点訳されたものを読ませていただく、ボランティアは必要なものを点訳する、そんな係わりだけでなく、私たちもこの働きの一部に加えていただいて、共により良い点訳書を作成するための道が開かれると良いのではないかと考えました。
点字がもっとも必要な私たち視覚障害者の点字能力は、ボランティアの方々よりずっと低いのではないかと思わされます。
日本点字委員会の点字の書き方・ますあけの変更に一番ついていけないのが私たちです。
皆様のグループの中の、点字大好きな視覚障害者を、校正と言う名目で一緒に加えていただいて、それによって視覚障害者の点字への力と思い入れが深くならないだろうかと、遅きに失した感ありと思いつつ、そんなことをも考えた一日でした。
誘ってくださった平瀬さん、そしてNBN通信を送り続けてくださった役員の皆様、ありがとうございました。
パン作り交流会と第12回総会
6月21日 集合時は小雨でしたが、その後
いいお天気になりました。安城駅と、現地集合で 18名と市社協から副所長 大熊氏とボランティアセンター
山田氏にご参加いただき、合計20名の参加でした。
まずは「交流会」。パン作りに挑戦しました。作ったパンはお土産にして、その後メインのレストランでの「総会」が開催されました。
次年度はNBNのホームページを使いやすいものにしたいということでの話し合いがされました。
第12回名古屋点訳ネットワーク(NBN)総会
日時:2009年6月21日(日)
場所:安城産業文化公園 デンパーク
1.開会挨拶
2.代表挨拶
3.来賓挨拶
4.2008年度活動報告
5.2008年度会計報告
6.2009年度活動計画
7.2009年度予算
8.閉会挨拶
2008年度活動報告
2008年 6月 第11回総会(名古屋市総合社会福祉会館) 参加者 42名
2008年 7月 NBN通信18号発行
2008年10月 ボラみ展(愛知淑徳大学にて点字体験ブースを出展)
2009年 3月 点訳グループ交流会(名古屋市総合社会福祉会館) 参加者 40名
2009年 6月 点訳ボランティアと視覚障害者の交流行事(安城産業文化公園デンパークにてパン作り体験) 参加者 18名
2008年7月〜2009年5月 点訳データ新規登録件数
405件
(2009年5月現在 点訳データ総登録件数 4311件)
2008年7月〜2009年6月 NBNホームページの管理
交流会と総会に参加して
みなづき会 加納 雅子
点訳グループ「みなづき会」に入会して2年目になり、まだまだ勉強する毎日で
皆さんに助けていただいている所です。
さてこの度
点訳ボランティアと視覚障碍者の交流会行事(安城デンパーク)「パン作り体験」に参加させていただきました。
まず パン作り体験は平瀬さんと一緒のグループになり、菓子パン「カメ」を作りました。準備が整っていてスムーズに進み、手足を付け、レーズンで目を付け
出来上がったカメはふっくらと堂々としていて立派に出来上がり、味も良く楽しく過ごす事が出来ました。
その後
ランチを。
数人で料理を取り分けることになり、サラダ、ウインナー、チキン。その時
大倉さん(みなづき会)が時計の「5時
ウインナー、1時 トマト」と説明され、私は初めての経験ですごいなぁと思うと共に、私もスーッと言葉が出るようになりたいと思いました。
総会では皆さん
パソコンを使って いろいろ活動され、中島さん、平瀬さんの話を聞いていても難しい用語を使っているので半分も内容が理解できませんでしたが
その内容は前向きに討論されていて
とても勉強になり 感動しました。
私も皆さんを見習って何事にもチャレンジしていかなくてはと思いました。
今回 参加出来た事がとても良かったと感謝しております。
「安城産業文化公園 デンパーク」にて
星野 妃栄
6月21日、私たちは「安城産業文化公園 デンパーク」に行ってきました。
午前中のパン作り体験では、4班に分かれて、用意された2種類のパン生地を使い、お花のデニッシュと餡子の入った動物パンをつくりました。
特に、動物パンの整形は、楽しいもので、私はウサギを、また他の皆さんは亀やアンパンマン・ミッキーマウスなどを作っていました。
それぞれが搗きたてのお餅の様に柔らかくて伸びの良いパン生地を、なれない手つきで
ちぎったり丸めたりして形を整えたら天板に並べ、なんとも言えないパンの焼ける良い香りにおなかをすかせながら焼き上がりを待っていました。
出来上がりはお見事というしかありません。思いの他 膨らんで、お世辞にもかわいらしいとは言えない、ブサイクなウサギのアンパンになりましたが、家に持ち帰って食べた時のおいしさは格別だったことは言うまでもありません。
さて、パンの焼ける匂いですっかりおなかが空いた頃、私たちはレストランに移動し、昼食をいただきながらのNBN総会が行われ、拍手による承認を持って閉会しました。
午後には園内の散策に出かけ、広大な敷地の中で、市民の作る野菜や草花の咲く間を歩いたり、色々な草花や木の実に触れたりと、日常にはないのんびりした時間の流れを感じることができました。
が、この季節です。何とか雨には降られなかったものの、蒸し暑くてたまりません。
私たちはすぐにマーケットに向かい、雑貨やお土産などを見て歩きました。
そしてたどり着いたのは地元のイチジクや西尾の抹茶などを使ったジェラートです。
こうして、楽しいお話と美味しい物いっぱいの1日はあっという間に過ぎ去ってしまいました。
みなさん、貴重な体験と楽しいひとときをありがとうございました。
点 訳 室 で
点訳ボランティア はづき会
木全三保子
名古屋高速の黒川インターの高架が丸いビルをくるりと巻き付くような所のすぐ南、名古屋市北区役所と北区保健所、名古屋市社会福祉協議会が入った赤煉瓦ふうの総合庁舎がある。7階建てだから結構大きいと言えるかもしれないが、このごろの名古屋ではまあ普通、かも。
ここには冬中咲く桜があり、江戸ひがん、ソメイヨシノ、八重といろんな桜が4月まで咲き競っていたが、5月の今は緑が若々しい。高速道路の足下でこうした木々は貴重でうれしい。
ここの6階の名古屋市社会福祉協議会ボランティアセンター点訳室が、私が点訳ボランティアをするところであります。毎週、北コスモス会の火曜日、はづき会の水曜日(漢点訳)とお邪魔しています。木曜日もはづき会の点訳の日ですが、かなの点訳をしない私は参加しない。
今日はそういう活動日ではなくて私ひとりだけの宿題をしにきました。
5階の社会福祉協議会の受付で点字プリンターの空きを確かめて鍵を借りる。だいたい今日あたりは誰も来ないだろうなと思う日に行くが、たまに先客があったりする。先客が北コスモスさんや大樹会だったら遠慮しないで入らせてもらう。でもほかのボランティアさんだと、お邪魔になるだけなので帰る。
最近、点訳室を利用するグループは私が知ってるだけで7つくらいかな。もっとあるかもしれない。
5階で鍵を受け取るとボランティア交流室のドアを開ける。ここは少し狭い部屋で墨字の印刷機(輪転機)とテーブルとソファ、長い机と椅子があり。いろんなボランティアさんたちが打ち合わせをしたり、印刷をしたりする部屋だ。
その部屋を通り抜けもうひとつ「点訳室」という名前が貼り付けられたドアの鍵を開ける。いつもの活動日は交流室に誰もいなければドアは開けっ放しにする。でも今日は1人なのでドアを閉める。かぎもすぐ見つからなくなりがちなので鍵穴に内からさしておく。他の人はどうするかは知らない。
1人の時は蛍光灯は灯けない。文字を読んだりするのは窓際で十分だし、コンピュータは蛍光灯なくてもよく見えるから。省エネ、省エネ…なんてね。
入ってすぐにコンピュータの電源を入れて歩く。何しろここのコンピュータは立ち上がりにそれぞれ手間取るのです。それからおもむろにリュックをおろし、活動のために作製したデータを取り出す。コンピュータによってはフロッピーだったり、メモリだったりします。最近やっとそういうことに慣れました。
ここのコンピュータは名古屋市、社会福祉協議会、北コスモス、大樹会、はづき会、といろいろあるが、ある意味、最先端のマシンはない。
昔、まだMS‐DOSの時代、我が息子によくコンピュータのセッティングを手伝ってもらったが、感心して言ったモンです。「まるで博物館の骨董品だ」って。今はその頃よりはましですが、それでもいまだにMS‐DOSのマシンが現役なのでやっぱり息子が見たら同じ感想を言うかもな、と思う。
コンピュータと点字プリンターのセットがボランティアグループのものを入れて7組あるがひとつとして同じ仕様のものはない。「ボランティアグループのものを使いたいときはどうぞ」と言ってはいるが、使い方を教えてくれる人がそこにいなければやっぱり難しいと言うのが現実かも。
点字プリンターは窓際から、TP32はMS‐DOSのBASEで両面印刷、漢点字はOXで片面印刷。(OXというのはMS−DOS用の漢点訳用ソフトで、テキストからBASEに変換、点字プリントを35行片面印刷でします。Opw−BEの開発者と同じ方が作った古いソフトです)。
その右のETはパソコンはWINDOWS‐MEでかな点字はブレイルスターまたはOpw‐BEで両面印刷、漢点字はOpw‐BE。
真ん中にあるドッグベーシックはMS‐DOSのBASEで。もう一つのドッグベーシックはWINDOWS‐XPでかな点字はブレイルスター、漢点字はOpw‐BEで両面印刷。
以上が名古屋市および市社会福祉協議会の機械で、基本的には点字用紙は名古屋市で用意してくれています。ただし、プリントした用紙代を受容者に支払いを要求してはいけません。まあ当然ですが、有料の点訳の場合は名古屋市の紙を使ってはいけないのです。
ほかに、はづき会の点字プリンターはTP32とESA721がありますが、TP32はかな点字はうまく打ち出せなくなっている。漢点字も細心の注意をしないと間違いだらけになります。困ったモンです。
大樹会の点字プリンターはETです。立派なカバーボックスに入っています。使えないことはないですが、やはり大樹会の方がいないときは使い勝手に不安があります。私自身は大樹会のETを一度借りたことがありますが、失敗してあとうまく正常にもどすことができなかったので今は借りません。
ボランティアグループのプリンターを使用するときは、名古屋市の点字用紙は使えませんので各自点字用紙を持参していただく必要があります。
いつものようにあちらこちらと点字プリンター3台ほどに点字プリントを指示し、コトコトバリバリとにぎやかな部屋で窓に向かって校正の仕事をする。
窓の外は黒川インターの出入りする車が見える。その高速の道の中に丸いビルがおさまっている。今日はパトカーや、消防車の出動はなさそうです。
昔はこのビルの向こうの御嶽山が見えたのに…なんてちょっとビルがじゃまっけに思える。ビルがない左半分は見通しもよく、濃尾平野を渡って岐阜県の山々まで美しく見渡せる。お天気がよければのことだが。
突然、天井の蛍光灯が灯いた。
「こんにちはー」明るい声で北コスモスさん。
「ちょっと、墨字印刷がしたくて、明日校正してもらいたいモンで」とすらりとした体にスポーティな装いで入ってくる。若いっていいな、と思う。
北コスモスさんも活動日だけでは全部さばけないので、皆さん都合のよい日にこうして出かけてきて点字プリントや墨字プリントをされる。たまにはづき会の人も来たりします。
北コスモスさんが墨字プリントをされる機械はたまたま私は使用しないものなのでちょうどよい。一人っきりで寂しくなりがちなのでこういうふうにボランティアさんが入ってきてくれるのはうれしいものです。
活動日だけではさばききれないほど忙しいお互いですが、昔、点字プリンターが少ないころは身障者スポーツセンターに予約を入れ、本郷まで出かけて行っては点字プリントをしていたと思えば、今は大変やりやすくなったと感じます。それでも、読者の希望とボランティアのできる範囲に隔たりが少なからずあることを残念だなと思ったりします。
今日は、ことのほかコンピュータやプリントのご機嫌もよくて仕事がはかどりました。これで、私の宿題は万全です。活動日に点字プリンターがあくのを待つのも少しは楽になると思います。
晴れ晴れと家に帰りました。(2009年5月)
編 集 後 記
広 報
●二つの企画が日が近かったので一つにまとめさせていただいてのNBN通信の発行となりました。
●今ままで なかなか実現できなかったグループ交流会が皆さんの協力をいただき、できたことはとてもうれしい・ほっとしたことでした。今後も、名古屋点訳ネットワークがお手伝いすることでグループ間での話し合いの場をもてたらといいなと思いました。
●今号では、グループ紹介の代わりに、市社協の点訳室の様子をお知らせしていただきました。
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