N B N 通 信 32 号

名古屋点訳ネットワーク
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E-MAIL: daihyo@n-braille.net
2016年8月発行







―・― 目 次 ―・―



ご挨拶

第19回 名古屋点訳ネットワーク 総会の報告

道村静江先生講演会「六年間を見通した漢字指導」ご報告

編 集 後 記





ご 挨 拶

代 表  中西 和子

 また2年間 代表をさせていただきます、中西です。
 NBNの行事に参加してくださる方々が、新しいことを学び、日頃の点訳活動の質をさらに高めようとされていることに敬意を表します。

 また、講演会等に大勢の方が集まってくださることにより、講師の先生にも来ていただくことができ、私自身、知識や感動やパワフルなエネルギーをいただくことが出来て有難く思っています。

 NBNの行事に参加してくださる方も、役員の方も、基盤となる活動をお持ちですので、NBNの活動をどんどん広げるということは考えていません。データベース運営と年に1,2回程度の勉強会や交流会を継続していきたいと思います。この二つだけで、十分に存在意義があると自分では思っているのですが、新しくNBN役員をお願いしようとして皆さんに固辞されてしまうと、NBNは無くてもいいと思われているのだろうかと悲しく残念に思います。役員というと偉そうに聞こえて遠慮されるので、世話人と呼んだ方が良いのかもしれません。また二つだけというのは、今のところ私の頭の中ではこれくらいしか思いついていないというだけのことです。他にもアイデアがありましたら、お知らせください。

 しばらく勉強会が続きましたので、次回は読者さんにも大勢参加いただけるような交流会的企画ができたらいいなと思っています。




第19回 名古屋点訳ネットワーク総会の報告


   平成28年6月19日(日)名古屋市総合社会福祉会館 7階大会議室にて昼時間に名古屋市社会福祉協議会の村田様に御参加いただき、18名の点訳関係の皆様と開催しました。
 自己紹介のあと、2015年度活動報告、また、2016年度活動計画をお任せいただくこととなりました。また今年は役員の改選も行いました。


1.2015年度活動報告

1)2015年7月5日(日) 2015年度総会

  活動報告・会計報告・活動計画

参加者同士の情報交換。毎年点訳講習会をして新規会員があるグループと、講習会を告知しても参加者が集まらないグループとがあり、ボランティア仲間募集などについて、具体的・有益な意見交換ができました。


2)2015年12月6日(日) 音声触図学習システムの体験、学習会

システムを開発した細川陽一さん(NBN役員)と5名の名工大の学生の方々から説明を受け、体験・資料作成の学習をしました。



3)点訳データベース     2014/7/19〜2016/6/13の登録数と累計

   
登録数累計
書籍等 59タイトル1099タイトル
新聞記事等 129タイトル3181タイトル
歌詞1368タイトル2210タイトル


 ● 登録すると、そのデータがダウンロードされたときにお知らせが来るのが嬉しいです。


 ● NBNの点字情報データベースの歌詞登録について、2015年9月5日の中日新聞夕刊で紹介していただきました。



4)NBN通信の発行




3.2016〜17年度 役員・委員選出

         
会  長中西 和子
副 会 長細川 陽一
木全三保子
会  計大倉 裕子
会計監査山口 益実
広  報浅田 浩子
中井 慶子
   点字担当平松 公子
ホームページ担当中島 正二
平瀬  徹
山口 益実


4.活動計画
  新役員を中心にアンケート結果等を参考にしながら計画をさせていただきます。

  




道村静江先生講演会「六年間を見通した漢字指導」ご報告


日時 : 平成28年6月19日(日)10時〜15時半(昼休憩・総会を途中で挟んでいます)
場所 : 名古屋市総合社会福祉会館

m道村先生の写真


総勢37名で先生のお話をお聞きしました。道村先生は横浜の盲学校の他、一般の小学校でも教鞭をとられました。多方面の点字のことが書かれていて 点訳に使い勝手がいい「点訳便利帳」の制作にも関わっていらっしゃいます。

実は、視覚障がいには関係のない方々からの申し込みが何名もありました。「参加させてもらってもいいでしょうか」と熱い思いで、しかし遠慮しながら尋ねられ、先生のお話を聞く機会があることをとても喜んでいることが伝わってきました。すでに先生の教材を利用していて使い勝手を模索してみえる団体の方もいました。ネットで調べると先生の学習がいろいろな分野で注目をされているのがわかりました。視覚障がい関係の者だけで聞くのはもったいないのだということがわかってきました。

 また講演の準備段階では、先生の希望はすごくパワフルでいくらでもしゃべれるから、長く時間をほしいとおっしゃられ、嬉しかったですが心配でもありました。ところが講演を終えたあと、セントレアから九州に行ってその後も予定(共に漢字の講演等)があり、自宅に戻るのは7月とのこと。先生のブログを拝見していると真の健康体ではないと思うのに、どこからそんなパワーが出てくるのか驚きでしたが、甘えさせていただいて しっかりお話をしていただくことにしてしまいました。

 講演が始まり、先生が生徒たちに漢字の学習が必要だと思い始めたいきさつをお話ししてくださいました。

 平成に入り、日本中でパソコンが生活の中に入ってきて、視覚障がい者用には「しゃべるパソコン」が登場し、「画期的!」なことと喜び、この子たちにも明るい未来が来ると思い飛びついたのだそうです。ところが大きな誤算がありました。かな入力ができるようになって、自動で漢字かな交じり文にしてくれるというのに、漢字学習をしてこなかったこの子たちには漢字変換された候補文字を選択することも、合っているかどうかもわからなかったからでした。

講演中の様子


 講演は、生徒たちに接しているかのように、私達へもたくさんの質問が投げかけられ、「もっと大きな声で!」「自信を持って言って!」と何回となく言われながら進められました。

 また、授業中の様子を写したビデオでは、凸面の漢字に触れてから先生の問いかけに子供たちがはきはきとした声で漢字の部品名を答えたり、感じたことを皆が思い思いに答えているのがとても楽しそうでした。また、触図なのに漢字の全体の形を早く認識できることに驚きました。部品として見ているからでしょうか。子供たちの漢字への関心が高いことに喜びを感じると共に楽しく学習をさせている先生の指導力に感服でした。
また試行錯誤の繰り返しで時間をかけて作成した貴重な資料もたくさんご用意いただきました。

 漢字を偏・冠・旁のほかにもいろいろな形を「部品」と捉えて、部品の組み合わせで漢字ができていてそれぞれの部品の意味を生徒にも考えさせながら印象づけさせて記憶に残しているようでした。 

 先生と子供たちのたくさんの言葉のキャッチボールがとても楽しそうだったこと、先生の説明を聞きながら真剣に一つの字の形・意味を自分の文字にしていく子供たちのきらきらした様子が頼もしかったです。
 これからも、全国の教育現場でこのような指導がされるといいと思いましたし、障がいを持った子たちがパソコンを使いこなしていくことでいろいろなことに挑戦して多方面に目が向けられるようになることを期待したいと思いました。
  

当日 見せていただいた 点字本6冊 墨字本5冊 カードの写真

先生が関わって作成された教材



講演会の感想から



 アンケート結果を読んでいただくことで先生のお話の様子が分かって頂けると思います。

情熱的なお話にただただ心打たれました
楽しく学ぶことはとても大切だと思いました
視覚障がい者の漢字学習でしたが一般の子供達にも通じるお話でした
一般校の高校生で漢字の読めない子に出会い、視覚障がいは情報障害と言われるが、漢字の読めない子も情報障害だと感じている
外国人に日本語を教えるボランティアをしていました。応用できることがたくさんあると感じました
何故,目の見えない子供達にも漢字教育が必要なのか等の話もとっても興味深く漢字が分かることで、どれほど世界が広がるだろうか?とビッグプロジェクトだなぁ〜とわくわくしてしまいました
発達障がいのある子供達の漢字学習にとても有効だと思いました
「音訓セット」の習得がすごく良い学習効果があると思いました。漢字カードを使って学習すると、子供たちがすごく楽しそうに覚えているので、是非広めて行きたい
学校教育法に関して考えさせられました。盲学校・普通学校の区別なく、応用できると思います。一人でも多くの教育者に聞いて欲しいと思いました
小学校などの漢字の配分の仕方での音読み・訓読みのこと、訓読みと音読みを対にして覚えることの効果など知らないことだらけでしたが 納得しながら楽しく聞かせていただきました
充実した資料!! 道村先生の考案されたカードの活用方法が実感できました。すべての漢字を部品に分けて、その組み合わせを口で言う・・・文字で読むと「?」だったことが講演会への参加でダイレクトに耳に入ってきました。私の周囲で暮らす子ども達に新しい学習法"として楽しく取り組んでもらえたらと思います
漢字の説明をする時に親密度・同音の漢字等苦労するので楽しく学んで行きたいと思います
辞書で引く時、調べる媒体によっては決まった音読みでしか表示できないとのことで問題ありだなと感じさせられました
今までは六点漢字や漢点字を符号としてだけ覚え、読み書きしてきました。しかし児童たちがいきいきと字形について発言しているのを聞いて、私も漢字の字形に興味が沸いてきました
視覚障がい者の皆さんにパソコンサポートをさせていただいています。パソコンを使えるか使えれないかでその人の生き方に幅が出てくると思っています。漢字を知ることでパソコンの操作が楽に・正確に・楽しくできるようにと期待します
こだわりのある子ども、長く集中することが苦手な子供達へ、新しいアプローチの方法が見つかった気がしました
先生の発想が学習に限らず仕事などにも通じる部分があった
教えるのも 教わるのも大変、とくに教える方の“工夫”はすごい
血のにじむような「身に付く漢字」の資料作成に対する情熱に感動しました
教える側も楽しく指導できそうで苦手な子も好きになるきっかけを作って行けたらと思いました
基本的な形の組み合わせで覚える、という理由は目からウロコでした
漢字を部品に分けて考えるのはとても面白いと思った。普段、偏とつくりにしか分けて考えてなかったので、発見でした
全ての部品に意味があり、あるひとつの状態や世界を示していることがわかると只埋めていけばよいだけの漢字学習のなんとセコイことか。ひとつの漢字にも意味をイメージする大切さを知りました
点訳で切れ続きを考える時に難しさを感じていましたが、和語と漢語の理解ができないからだと思っていましたが、音読みと訓読みの理解ができてないからかもしれないと思いました。しかし、こんなことで悩まなくてもいいような切れ続きのルールがあったら点訳者も視覚障がいの人も もっと点字が身近になるのにと思いました
孫たちの宿題を見ています。漢字ドリルは正にひたすらマスを埋めるだけ。おっしゃる通りの行動の孫たちです。「の・1・くち」 「の・2・たて・たて・き」こんな覚え方があるなんて、目から鱗でした。今日のご講演から漢字学習は楽しいと思える導きを心がけたいと思います。また、点訳時の漢字説明等には「何が適切か」を考える選択肢が増えました
点訳者が漢字の説明をするのに苦労しています。同音異義語がいくつもあるのにそのような漢語を平気で点訳者挿入符の中に使ってくる点訳者がいます。漢字を特定する方法"はとても勉強になりました。「な」をつけて形容詞にする、「する」をつけて動詞にするなどです


◆ 編 集 後 記 ◆


 道村先生が登場されたいくつかのテレビ番組を見たことがあるので、講演会を楽しみにしていました。先生の教育に対する情熱がすごかった。盲学校では一般校にある教材を点訳してあればいいわけではなく、見えない子たちに今どんな教材があったらいいかを考えて、こんなのがあったらいいと思ったら教材を作り始めることが普通みたいでした。ひょっとすると盲学校の先生はみなさんそうなのかもしれないけれど、道村先生はそれがどんなに大変でもやり始めるみたいで、先生に指導された生徒さんはよかったね、と思いました。   (広報)








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